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1 基礎編
第1章 VOCの排出と環境等への影響

1.2 大気環境への影響

VOCは、光化学オキシダント及び浮遊粒子状物質(以下「SPM」という。)等の二次生成粒子の原因物質とされており、これらの生成機序については次のように考えられています(図1.1.2.1)1)。光化学オキシダントは、大気中のVOCを含む有機化合物と窒素酸化物の混合系が、太陽光(特に紫外線)照射による反応を通じて生成します。また、SPMの二次生成粒子は、大気中のVOCが化学反応を起こし、更に反応生成物が凝縮すること等により生成します。また、窒素酸化物や硫黄酸化物からも二次生成粒子が生成しますが、この反応にはオゾンが関与しています。なお、二次生成粒子が生成するためには、VOCから生成した反応物の蒸気圧が低い必要があるため、通常、炭素数の多いVOCが関与しますが、光化学オキシダントの生成には、ほとんど全てのVOCが関与します。

図1.1.2.1 大気中のVOC等の反応メカニズム
(転載:環境省 揮発性有機化合物(VOC)排出抑制検討会、「揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制について(検討結果)」(H15.12.9)、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/air/osen/voc/kekka.pdf、2011/06/06確認)

現在の大気汚染状況2)をみると、光化学オキシダントの原因物質の一つである非メタン炭化水素(NMHC:Non-Methane hydrocarbons)の午前6時~9時の3時間平均値*の推移は図1.1.2.2のように年々減少しています。 SPMも、近年改善傾向がみられています(図1.1.2.3)が、オキシダントは漸増しています(図1.1.2.4)。

* 中央公害対策審議会答3)では、光化学オキシダント生成防止のための必要条件としての環境大気中のNMHC濃度レベルの指針として、光化学オキシダントの日最高1時間値 0.06ppm に対応する午前6時から9時までのNMHCの3時間平均値は、0.20ppmC から0.31ppmC の範囲にあるとしています。

原因物質である大気中のVOCと窒素酸化物が低減しているにもかかわらず、オキシダントが増加していることについては、多くの研究4)が行われている段階です。

図1.1.2.2 非メタン炭化水素濃度(午前6時~9時の3時間平均値)の推移
(転載:環境省、「大気汚染状況」、http://www.env.go.jp/air/osen/jokyo_h21/full.pdf、2011/06/01確認)

図1.1.2.3 SPM濃度の年平均値の推移
(転載:環境省、「大気汚染状況」、http://www.env.go.jp/air/osen/jokyo_h21/full.pdf、2011/06/01確認)

図1.1.2.4 光化学オキシダントの昼間の日最高1時間値の年平均値の推移
(転載:環境省、「大気汚染状況」、http://www.env.go.jp/air/osen/jokyo_h21/full.pdf、2011/06/01確認)

引用文献

  1. 環境省 揮発性有機化合物(VOC)排出抑制検討会、「揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制について(検討結果)」(H15.12.9)、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/air/osen/voc/kekka.pdf、2011/06/06確認
  2. 環境省、「大気汚染状況」、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/air/osen/index.html
  3. 中央公害対策審議会、「光化学オキシダントの生成防止のための大気中炭化水素濃度の指針について(答申)」、昭和51年8月13日
  4. 例えば、国立環境研究所研究報告第195号、「日本における光化学オキシダント等の挙動解明に関する研究、国立環境研究所と地方環境研究所とのC型共同研究、平成16~18年度、最終報告 (2007)」、http://www.nies.go.jp/kanko/kenkyu/pdf/r-195-2007.pdf、2011/06/10確認
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