東京都地域結集型研究開発プログラムのタイトル図
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1 基礎編
第2章 VOCの処理技術

2.2 燃焼法による処理

2.2.1 直接燃焼法

直接燃焼法では、排気ガスを750~850℃程度まで昇温させてVOCを燃やし、その炭素をCO2に完全分解します。この方法は、大規模な塗装工場の排気処理に多く使用されてきました。温度が高いために、塗料に含まれるシリコンやヤニ等による影響が少なく、高効率で安定したVOCの分解が可能です。直接燃焼処理装置は、他方式に比較して構造がシンプルで、風量の割には設置費用が小さく、機器のメンテナンスも手数がかかりません。

ただし、VOCが自燃する濃度は、VOCの種類によりますが、一般には1,000ppm以上です。したがって、塗装や印刷の工程から排出される通常のVOCを処理するには、灯油、都市ガス、及びLNGなどの補助燃料が必要です。様々な熱回収方法が工夫されていますが、それでも補助燃料コストは高額になります。同時に、補助燃料を燃焼させることにより大量のCO2が発生します。そのため、近年は作業ロボットを使用して排気量を減らすこと、あるいはVOC濃縮装置をつけることなど、補助燃料を減らす取り組みが強められています。


2.2.2 蓄熱燃焼法

VOC燃焼時に発生した熱を蓄熱材に蓄えて、熱効率を最大95%程度まで高めることが可能な燃焼法です。処理する排気を燃焼室の入力側に設けた高温の蓄熱材の中を通し、昇温させて燃焼室に導き、更に燃焼室でバーナー等で温度を上げてVOCを燃焼させます。その結果発生する高温の排ガスを燃焼室の出力側に設置した別の蓄熱材を通して排出します。処理される気体は入力側で蓄熱材から熱をもらい、処理された後で出力側の蓄熱材に熱を与えることになります。入力側と出力側の蓄熱材は適宜切換えて、熱を効率的に利用します。蓄熱材の切換えにはロータリー方式やダンバー切換え弁方式が使用されています。蓄熱材を切り替えるときに熱効率が低下しないように、工夫がされています。蓄熱材はセラミックスなどを素材とし、熱交換用の通気孔を多数設けた構造になっています。蓄熱燃焼方式の処理装置は、重量がかさみ価格も高いことから普及が遅れていましたが、熱効率が良く、直接燃焼法より高い温度で燃焼させることで補助燃料を減らすことができるので、今後は使用が増加すると思われます。ただし、連続運転をしないと蓄熱の効果が出ないため、仕事が不連続で排気も断続的になりやすい中小企業などの場合は使い方に工夫がいるでしょう。


2.2.3 触媒燃焼法

直接燃焼法では、排ガスの温度を750~850℃程度まで上げる必要がありますが、触媒燃焼法では350~450℃でVOCを酸化することができます。したがって、補助燃料コストを低減することができます。また、低温燃焼のために、窒素酸化物の発生も少なくなります。

現在、触媒には主に白金(Pt)が使用されていますが、鉄、セリウム、コバルトなどの酸化物触媒の開発が行われています。東京都地域結集型研究開発プログラムでは、コバルト・セリウム酸化物系熱触媒の開発が行われ、特に酢酸エチルに関しては、白金系より100℃も低い温度でCO2まで分解することができています。

触媒燃焼法に使用する熱触媒に求められる性能としては次のものが挙げられます。

  1. 酸化温度が低いこと
  2. 大きな空間速度(SV)がとれること
  3. 圧力損失が低いこと
  4. シリコンなどの被毒に強く、寿命が長いこと
  5. ヤニ、コーキングなどで目詰まりしないこと

実際は、a.の酸化温度は350~450℃程度、b.のSV値は白金触媒をハニカムのコーディエライト等に担持したもので30,000 h-1程度(ただし、処理装置としては10,000 h-1程度)、c.の圧力損失以下の項目は装置の設置面積や運転方法によります。

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