東京都地域結集型研究開発プログラムのタイトル図
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1 基礎編
第2章 VOCの処理技術

2.4 その他の処理方法

2.4.1 光触媒法

光触媒によりVOCを酸化分解する方法が実用化されています。光源は主に紫外線が使用されていますが、最近は可視光を利用する研究が活発に行われています。

図

図1.2.4.1 光触媒によるトルエンの酸化

光触媒は分解速度が遅いので、塗装工場や印刷工場などから排出される多量のVOCを直接酸化分解することは困難です*注。しかし、悪臭は僅かの原因物質から発生していることが多く、悪臭除去装置として実用化されています。実際に、排水処理場の悪臭や腐敗臭の発生する保管庫などで効果を発揮しています。

光触媒の材料としては、酸化チタンが多く使用されています。活性を高める添加物や有効波長を長くする窒化処理など様々な工夫がされています。図1.2.4.1は、光触媒によるトルエン分解の模式図です。

*注:光触媒の分解速度

太陽エネルギーを利用する場合(理論計算):
波長600 nmまでの太陽光を量子収率 100%で用いると仮定すると、1電子反応で処理できる場合と36電子反応の場合、トルエンの分解速度は受光面積1 m²当たり毎時で以下のとおりです。
1 電子反応 →  0.45 kg/h/m²
36 電子反応 → 0.01 kg/h/m²
一方、処理が必要なトルエン量は、私たちの工場調査によると、中小規模の塗装工場でも 20 kg/日、或は2.5 kg/hは必要です。したがって、工場からの排出される大量のガスを光触媒で処理することは困難です。


2.4.2 放電プラズマ法

プラズマとは、気体を構成する分子が電離して、陽イオンと電子に別れて運動する状態を言います。放電は主にコロナ放電(Corona discharge)が使用されています。

VOCの分解は、VOCとプラズマの接触により進行します。また、プラズマ周辺に触媒を配置することで分解速度を10倍以上に高めることが可能です。

放電プラズマ法は、現在、放電を強力にして分解速度を高める研究が行われています。一方では、放電を弱くして、空気中での放電に伴う窒素酸化物の発生を抑えて、微量の悪臭物質を除去する用途に限定して使用する方法が使われています。

放電プラズマ法は、消費エネルギーが少なく分解能力も高い魅力的な処理方法ですので、大気中の放電で発生する窒素酸化物を上手に処理することが出来れば更に用途は拡大するでしょう。


2.4.3 オゾン酸化法

オゾンの酸化力を利用してVOCを分解する方法です。VOCを含む排ガスを直接オゾンと接触させる方法、及び排ガスを活性炭等に吸着させてからオゾンで処理する方法が研究されています。光触媒法や放電プラズマ法と同じで、処理対象の気体の温度を上げることなしに処理が可能です。オゾン発生には酸素中の放電が使用され、VOC処理後の残留オゾンをそのまま大気中に放出しない処理が必要です。


2.4.4 生物処理法

生物処理は、畜舎や堆肥のにおいを除去するために使用されています。しかし、生物処理については装置の仕組みも性能データの取得方法もほとんど公開されていません。分解菌の種類も担持体もノウハウで固められています。その中で、群馬県の地域結集型研究開発プログラムで開発された成果は、一般に公開されています。開発された装置は、水の補給が必要ですが、保守の手間は大きくないとのことです。(参照:群馬県「群馬県地域結集型研究開発プログラム 環境に調和した地域産業創出プロジェクト」、http://www.g-inf.or.jp/create/index.html

生物処理では、微生物を殺すような殺菌作用のあるVOCは処理できず、また装置は広い設置面積が必要なので、工場の排気処理には利用が難しいところがあります。しかし、自然に近いクリーンな処理技術として再評価して、強力に開発を進めるべきだとの意見もあります。


2.4.5 薬液処理法

VOCを吸収する薬液をシャワーにして吹き付ける、あるいは薬液中でバブリングして排ガスを処理する方法です。吸収したVOCを回収し、薬液を再生してリサイクルします。したがって、排ガスの種類、風量、濃度などにより装置を個別に設計する必要があり、汎用品として市場に出ている製品はほとんどありません。しかし、VOCの種類によっては効率的な処理が期待できます。悪臭物質についてはアルデヒド類など水溶性のものが多いため、脱臭剤を混ぜた水を利用する方法が使われています。また、吹き付け塗装ブースには、通常、油膜や水槽を使ってミストを取り除く機構が付随しています。可溶性のVOCはミストと同時に除去することが可能です。

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