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1 基礎編
第3章 VOCおよび関連項目の測定方法

本章では、VOC排出対策を評価するのに必要なVOCおよび関連する項目の測定方法について述べます。測定すべき項目は環境によって異なります(図1.3.1.1)。そのため、排出口、作業環境、大気環境、室内環境それぞれについて、測定項目とその測定方法をまとめました(表1.3.1.1)。

図1.3.1.1 環境ごとの測定項目

表1.3.1.1 環境ごとの測定項目とその測定方法
測定環境 測定物質 規制値等 代表的な測定法
*VOCの総量を表します。
**VOCとアルデヒド類の各成分を表します。
***室内環境におけるVOCの総量は、TVOCとしました。
排出口 VOC* 排出基準 FID、NDIR(公定法)
VOC、アルデヒド類成分** GC/MS、HPLC
無機ガス GC-FID、TCD、イオンクロマトグラフ法
粒子 重量法(JIS Z 8808によるばいじん測定)
臭気 気体排出口(2号規制) 三点比較式臭袋法
排気風量 ピトー管、熱式風速計
作業環境 VOC* - FID、NDIR
VOC、アルデヒド類成分** 作業環境評価基準 GC/MS、HPLC
大気環境 NMHC 環境基準等 FID
VOC、アルデヒド類成分** GC/MS、HPLC
無機ガス GC-FID、TCD、イオンクロマトグラフ法
粒子 重量法、β線吸収法、光散乱法
光化学オキシダント 紫外線吸収法、吸光光度法
臭気 敷地境界線上(1号規制) 三点比較式臭袋法
室内環境 VOC、アルデヒド類成分** 室内濃度指針値 GC/MS、HPLC
TVOC*** 室内濃度暫定目標値 GC/MS

3.1 排出口における測定

大気汚染防止法では、排出口におけるVOCの測定が義務付けられています。しかし、VOCは様々な成分を含むため、環境への影響を考える際は、その成分を明らかにすることが重要となります。特に、VOC処理装置による燃焼・分解を行った場合は、アルデヒド類が生成したり、無機ガスが発生したりする可能性があります。また、排出口から発生するVOCは悪臭の原因となることがあります。本項では、排出口におけるVOCの測定法に加え、関連して排出される物質(VOC、アルデヒド類成分無機ガス粒子臭気)の測定方法について説明します。また、排出口における排気風量の測定方法についても記載しました。

3.1.1 VOC

大気汚染防止法による法規制の対象となっているVOC排出者は、年2回以上のVOC排出濃度の測定が義務付けられています。その測定法として、環境省告示による測定方法(公定法)が定められています。また、公定法以外の簡易測定法もあります。ここでは、公定法と簡易測定法について述べます。

(ア) 公定法

(1) 排出ガスのサンプリング1)

排出ガスのサンプリングには、試料採取管、除湿管、捕集バッグ、吸引用気密容器、流量調整バルブ、吸引ポンプ、流量計等を用います(図1.3.1.2)。サンプリングは、吸引ポンプによって気密容器の圧力を低くすることにより、排出ガスを捕集バックに採取します。ダクトの試料採取位置は、JIS K 0095(排ガス試料採取方法)2)に規定されている方法によります。

図1.3.1.2 排気ダクトからの排出ガスのサンプリング
(転載:環境省、「VOC濃度の測定法」、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/air/osen/voc/sokuteiho.html、2011/06/13確認)

(2) VOC濃度の測定方法

排ガス中のVOC濃度レベルに合わせて、直接もしくは希釈して、排ガスを分析計に導入します。VOC濃度の測定には、触媒酸化-非分散形赤外線分析計(NDIR)水素炎イオン化形分析計(FID)のどちらかの分析計を用います。

触媒酸化-非分散形赤外線分析計(NDIR; Non Dispersive Infrared)

NDIRは、VOCを触媒で酸化したときに発生するCO2の濃度を測定することで、VOC濃度(炭素換算濃度、ppmC)を求める装置です(図1.3.1.3)。CO2の濃度は赤外線の吸収強度により測定します。実際の試料ガス中にはもともとCO2が存在するため、触媒の前後でのCO2濃度を測定し、その差を求めてVOC濃度とします。なお公定法では、NDIRは燃焼過程を経たガスを含む排出ガス中VOCの測定には用いないこととされています。

図1.3.1.3 NDIRの構成
(転載:環境省、「VOC濃度の測定法」、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/air/osen/voc/sokuteiho.html、2011/06/13確認)

水素炎イオン化形分析計(FID Flame Ionization Detector)

FIDは、VOCを水素炎中で燃焼することによって発生するイオンを電極で検出する装置です(図1.3.1.4)。NDIRと同様、炭素換算濃度(ppmC)で表わされます。

図1.3.1.4 FIDの構成の構成
(転載:環境省、「中央環境審議会大気環境部会 揮発性有機化合物測定方法専門委員会(第2回)議事次第・資料 資料2 揮発性有機化合物の分析方法」、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/council/07air/y075-02.html、2011/06/24確認)

(3) 除外物質の測定方法1)

VOC排出施設において大気汚染防止法で規定されたVOCから除く物質(除外物質:メタンおよびフロン類)を使用もしくは発生している場合は、その濃度を測定し、上記の方法で測定したVOC濃度から差し引きます。メタンは、捕集バッグを用いて採取後、FIDを用いるガスクロマトグラフ法(GC-FID)により測定します。フロン類は、捕集バッグを用いて採取後、GC-FID、電子捕獲検出器を用いるガスクロマトグラフ法(GC-ECD)または、質量分析器を用いるガスクロマトグラフ法(GC-MS)により測定します。

(イ) 簡易測定法

排出抑制対策のためにVOC排出状況を把握したり、処理装置の処理性能を評価したりするためのVOC測定方法として、試料採取にバッグを用いずに連続測定する方法や、公定法で規定されていない簡易な測定機を用いた測定方法があります。環境省では、簡易測定法に該当する測定機として、光イオン化検出法(PID)FID、赤外線分光式吸収法、高分子薄膜の膨潤に基づく干渉増幅反射法(IER法)、触媒酸化とCO2センサを組合せたもの、半導体ガスセンサ、ガスクロマトグラフ法(半導体センサ)について紹介しています3)

(ウ) 分析計の性能比較

分析計はそれぞれ性能が異なるため、測定目的に応じた選択が必要です。特に分析計の感度は、VOCの種類によって異なる場合があります。環境省では、NDIRFIDPIDについて、主要VOC成分に対する相対感度特性を測定しています4)。その結果、例えば、NDIRはどのVOCに対しても同様の感度を示すのに対し、FIDはアルデヒドやアルコールに対して感度が低くなります(図1.3.1.6)。一方、PIDはVOCの種類によって感度が大きく異なり、芳香族炭化水素には良い感度を示すのに対し、脂肪族炭化水素やアルデヒド類の感度が低いという特徴があります。

図1.3.1.6 分析計のVOCの種類による感度の違い
(転載:環境省、「中央環境審議会大気環境部会揮発性有機化合物測定方法専門委員会(第2回)議事次第・資料(平成16年9月24) 揮発性有機化合物測定機に関する調査結果」、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/council/07air/y075-02.html、2011/06/13確認)

また、環境省の環境技術実証事業では、平成21年度から新たな技術分野として「VOC簡易測定技術」を行い、VOC簡易測定の有用性等の技術情報などを実証・公表しています5)。現在、触媒酸化-検知管方式、IER法、酸化物半導体式ガスセンサ、FIDの実証試験の結果が紹介されています。


3.1.2  VOC、アルデヒド類成分

排出口におけるVOCは、多種類のVOCによって構成され、その成分は事業所によって異なります。したがって、排出されるVOCの有害性や大気汚染などの環境負荷を評価するためには、VOC成分を明らかにすることが必要です。

VOC成分のうち、排出基準が定められている指定物質(テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン及びベンゼン)(1.5.1(イ))については、その測定法が環境省の「有害大気汚染物質測定方法マニュアル」の「第2編 排出ガス中の指定物質の測定方法マニュアル」6)に記載されています。一方、排出ガス中のその他のVOC成分の測定方法は定められていませんが、環境省の「有害大気汚染物質測定方法マニュアル」に記載されている環境大気の測定方法を参考にすることができます。例えば、有害大気汚染物質に含まれるもの(ベンゼン等VOC・アルデヒド類)に関しては、「有害大気汚染物質測定方法マニュアル 第2部 有機化合物の容器採取・固体吸着による測定方法」6)に記載されています。また、固定発生源からの排出量の多い21物質(アセトン等極性7物質及びトルエン等14物質)のVOCの採取、測定方法等については、「環境大気中の揮発性有機化合物(VOC)濃度モニタリングに係る測定方法マニュアル」に記載されています7)。表1.3.1.2にこれらの測定法の抜粋を示しました。この表から、測定法はベンゼン等VOCsを測定するための「容器採取法または固体吸着による測定法」とアルデヒド類を測定するための「DNPHを用いた反応捕集による測定法」に大きく分けられることが分かります。

表1.3.1.2 測定対象物質とその測定方法(抜粋)
(転載:環境省、「有害大気汚染物質測定方法マニュアル、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/air/osen/manual2/index.html、2011/06/13確認 及び 環境省、「環境大気中の揮発性有機化合物(VOC)濃度モニタリングに係る測定方法マニュアル」、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/air/osen/manual_voc/index.html、2011/06/14確認)
試料採取-前処理方法 分析方法
容器採取法 固体吸着 - 加熱脱着法 固体吸着 - 溶媒抽出法 固相(DNPH)捕集 - 溶媒抽出法 液相(DNPH)吸収 - 溶媒抽出法 ガスクロマトグラフ質量分析法 ガスクロマトグラフ(熱イオン化検出器法) 高速液体クロマトグラフ法 高速液体クロマトグラフ質量分析法
*アセトン、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、n-ブタノール、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル
**トルエン、m-キシレン、p-キシレン、o-キシレン、1,3,5-トリメチルベンゼン、デカン、ジクロロメタン、n-ブタン、イソブタン、トリクロロエチレン、n-ヘキサン、n-ペンタン、cis-2-ブテン、ウンデカン
アクロニトリル
塩化ビニルモノマー
クロロホルム
1,2-ジクロロエタン
ジクロロメタン
テトラクロロエチレン
トリクロロエチレン
1,3-ブタジエン
ベンゼン
その他のVOCs
アセトン等極性7物質*
トルエン等極性14物質**
アルデヒド類
(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド)

3.1.3 無機ガス

事業所の排出口からは、大気汚染物質として従来から懸念されている無機ガスが排出されることがあります。VOC排出施設においても、VOC処理過程において無機ガスが生成することもあり、必要に応じて無機ガス成分を測定することが望ましいといえます。本項では、無機ガスとして、一酸化炭素(CO)、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、塩化水素(HCl)について、それぞれ発生源8)と測定法をまとめました。排ガス中の無機ガスの測定方法は、JISにより定められていて9-14)、このうち、イオンクロマトグラフ法を用いると、NOx、SOx及びHClを同時に測定することができます(表1.3.1.3)。

(ア) CO

COによる大気汚染の大部分は自動車排出ガスによるものと考えられています。燃料等の不完全燃焼によって発生します。分析法はJIS K 0098「排ガス中の一酸化炭素分析方法」9)に示されています。

(イ) SOx

SOxは、石油や石炭等の硫黄分を含む燃料等の燃焼によって生成します。その大部分は、SO2です。主要な発生源は、重油を使用するボイラー、加熱炉を持つ工場・事業場です。また、ごみ焼却設備において、紙類、たんぱく質系厨芥類、加硫ゴム等を焼却するときにも発生します。分析方法は、化学分析方法(JIS K 0103「排ガス中の硫黄酸化物分析方法」)10)と連続測定法(JIS B 7981「排ガス中の二酸化硫黄自動計測システム及び自動計測器」)11)に分けられます。

(ウ) NOx

一般に二酸化窒素(NO2)と一酸化窒素(NO)を合わせてNOxと呼びます。燃料などの燃焼によりNOが生成し、大気中でオゾンなどとの反応によって酸化されてNO2になります。燃焼過程においては、燃焼用空気中のN2とO2が高温状態で反応して生成するサーマルNOxと、燃料中のN分が燃焼中に酸化されて生成するフューエルNOxの2種類が生成します。主な排出源は、自動車及び工場の燃焼設備で、ビル、家庭の厨房・暖房施設からも排出されます。廃棄物焼却によってはフューエルNOxが生成するといわれています。

VOC処理装置のうち、直接燃焼装置は、NOxの発生が課題とされています。一方、蓄熱式燃焼装置、触媒燃焼装置はNOxの発生が少ないといわれています。分析方法は、化学分析方法(JIS K 0104「排ガス中の窒素酸化物分析方法」)12)と連続測定法(JIS B 7982「排ガス中の窒素酸化物自動計測システム及び自動計測器」)13)に分けられます。

(エ) HCl

HClは、工業的には、含塩素化合物の製造及びアルコール類などの中間体の製造を目的として炭化水素を塩素化する際に副生することがあります。一例として、かつて塩化ビニルは、エチレンと塩素から1,2-ジクロロエタンを作ってこれを熱分解して製造していましたが、この工程の排ガス中に未回収のHClが残留することがありました。また、代替フロン(HCFC)のフッ素化の過程でもHClが生成する例があります。一方、ごみ焼却設備においては、塩化ビニル樹脂等の塩素系プラスチックを焼却するときに発生するほか、食塩等の無機塩素化合物を焼却する際、高温域においてHClガスが発生します。分析法として、JIS K 0107「排出ガス中の塩化水素分析方法」14)があります。

表1.3.1.3 無機ガスの種類と測定法
無機ガスの種類 発生源(対象とする排ガス) 測定法 対応するJIS
CO 燃料の燃焼
金属精錬
化学反応工程
ガスクロマトグラフ法
検知管法
赤外線吸収法(連続測定可)
定電位電解法(連続測定可)
JIS K 0098
SOx 燃料などの燃焼
鉱石のばい燃
金属の精錬
硫黄製造工程
その他の化学反応
脱硫工程
イオンクロマトグラフ法
沈殿滴定法(アルセナゾⅢ法)
JIS K 0103(化学分析法)
溶液導電率方式
赤外線吸収方式
紫外線吸収方式
紫外線蛍光方式
干渉分光方式
JIS B 7981(連続測定法)
NOx 燃料などの燃焼
金属表面処理工程
無機及び有機化学反応工程
脱硝工程
亜鉛還元ナフチルエチレンジアミン吸光光度法(Zn-NEDA法)
ナフチルエチレンジアミン吸光光度法(NEDA法)
イオンクロマトグラフ法
フェノールジスルホン酸吸光光度法(PDS法)
ザルツマン吸光光度法
JIS K 0104(化学分析法)
化学発光方式
赤外線吸収方式
紫外線吸収方式
差分光吸収方式
JIS B 7982(連続測定法)
HCl 燃焼
化学反応
イオンクロマトグラフ法
硝酸銀滴定法
イオン電極法
イオン電極連続分析法
JIS K 0107

3.1.4 粒子

VOCは排出口から排出される場合には気体ですので、粒子の測定は直接的には関係がありません。しかし、VOCと同時に顔料などの固形物が排出される場合や、処理装置で粒子が生成される可能性もありますので、ここでは排出口において使用できる粒子の測定方法について記載します。なお、塗装現場で問題とされるようないわゆる「塗装ミスト」については、「2塗装編 5.4塗装ブース用処理装置の研究開発事例」を参照してください。

大気汚染防止法では、ばい煙発生施設における粒子(ばいじん)の排出基準を定めています。測定方法は、JIS Z 8808「排ガス中のダスト濃度の測定方法」15)に規定されており、これは粒子をフィルタに採取しその質量を秤量する方法(重量法)です。その他に、公定法ではありませんが、事業所においてバグフィルタなどの集塵装置の管理のためには、ダストモニターと呼ばれる光学式や摩擦電化方式などの連続測定できるものが使用されています。

研究的には粒子を粒径別に測定する場合もあります。この場合には、インパクターやサイクロンなどの分粒装置を用いてフィルタに採取し、質量を秤量する方法があります。また、平成21年にPM2.5(粒径が2.5 µmより小さい粒子)が環境基準に設定されたことから、発生源におけるPM2.5の測定方法として、バーチャルインパクターやカスケードインパクターがISOにおいて検討されています16,17)

PM2.5より粒径の小さいナノ粒子レベルの測定には、ELPIやSMPSといった装置が必要となりますが、多くは環境測定に使用されているので、詳細は3.3大気環境における測定 の3.3.4項に記載します。


3.1.5 臭気

臭気は主観的なものですが、悪臭苦情に対応するためには客観的に分かるように数値化する必要があります。悪臭防止法18)では、「特定悪臭物質濃度」と「臭気指数」のどちらかで臭気を評価します。特定悪臭物質濃度は、機器分析法により測定した臭気物質の濃度です。一方、臭気指数は、嗅覚測定法(人がにおいを嗅いで測定する方法)によって算出します。都道府県知事(または政令市長)は、評価方法をどちらか指定し、規制基準を敷地境界線上(1号規制)、気体排出口(2号規制)、排出水(3号規制)で定めることになっています。気体排出口(2号規制)は、臭気が敷地境界外の着地地点において1号基準以下になるために、排出口において満たさなければならない臭気の排出基準です。なお、測定した特定悪臭物質濃度及び臭気指数の評価方法に関しては、第4章の4.4.3項を参照してください。

(ア) 特定悪臭物質濃度

特定悪臭物質濃度の測定方法は、環境庁告示第9号19)により、悪臭物質ごとに定められています。排出口では、特定悪臭物質22種のうち13物質が規制対象となっていて、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル、アセトアルデヒド、スチレン、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸は、規制対象外です(表1.3.1.4)。なお、敷地境界線での測定方法の概要は、表1.3.1.4を参照してください。

表1.3.1.4 特定悪臭物質(13物質)の測定方法(排出口)の概要
(転載:環境省、「環境庁告示9号 特定悪臭物質の測定の方法」、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/hourei/syousai.php?id=10000022、2011/06/22確認)
特定悪臭物質 試料採取方法 分析方法
アンモニア JISK0099「排ガス中のアンモニア分析方法」による
硫化水素 バッグサンプリング GC-FPD
トリメチルアミン 吸収瓶による捕集(5分間) GC-FID
プロピオンアルデヒド
n-ブチルアルデヒド
イソブチルアルデヒド
n-バレルアルデヒド
イソバレルアルデヒド
バッグサンプリング GC-FTD(アルカリ熱イオン化検出器)
GC-MS
イソブタノール
酢酸エチル
メチルイソブチルケトン
トルエン
キシレン
バッグサンプリング GC-FID

(イ) 臭気指数

特定悪臭物質以外の物質による臭気や複数の悪臭物質による複合臭は、特定悪臭物質濃度の測定では評価できません。この場合は臭気指数による評価が有効です。臭気指数は、実際に人がにおいを嗅いで求めるため、複合臭にも対応でき、実際の悪臭の被害感と一致する結果を得やすいという特徴があります。臭気指数は三点比較式臭袋法により求めます。本項では、排出口における三点比較式臭袋法に基づく臭気指数の求め方の概要を示します。詳細は平成7年環境庁告示63号20)や嗅覚測定法マニュアル21)に記載されています。なお、悪臭防止法に基づいた臭気指数の測定は、臭気判定士により行われます。臭気判定士が測定を行う臭気測定認定事業所のリスト22)は、におい・かおり環境協会のHPで公開されています。

(1) サンプリング

排出口試料のサンプリングには、直接採取法(ポンプを通して試料採取袋に直接試料を採取する方法)か、間接採取法(ポンプを用いて吸引ケース内を減圧することにより試料採取袋に間接的に試料を採取する方法)を用います。

(2) 判定試験

臭気がなく、パネル(嗅覚を用いて臭気の有無を判定する者)が落ち着ける部屋に6名以上のパネルを集めます。オペレーター(パネルを用いて臭気指数等の測定を行う者)は、希釈した試料を入れたにおい袋1つと無臭空気を入れた袋(ブランク)2つをパネルの人数分調製してパネルに配布し、パネルに嗅いでもらい、試料を入れたにおい袋を選ばせます。正しく選定できたパネルには、更に希釈した(おおむね3倍)試料を含むセットから選定してもらい、不正解か不明になるまで、判定試験を行います。

(3) 臭気指数の算出

次の式によりに各パネルの試料の希釈倍数に係る閾値を求めます。パネルAの場合、

Xa=(logM1+logM0)/2

この式において、XaはパネルAの試料の閾値、M1は当該パネルAが「正解」である希釈倍数の閾値、M0はパネルAが「不正解か不明」である希釈倍数の閾値です。

次に、各パネルについて算出した閾値のうち最大の値と最少の値をそれぞれ一つずつ除き、その他の中間の値を平均したものが、パネル全体の閾値(X)となります。臭気指数(Y)と臭気濃度(C)は、以下の式で求めます。

Y=10X
C=10Y/10

また、排出口高さが15 m以上の場合は、臭気排出強度(OER: odor emission rate)を算出します。臭気排出強度は、臭気濃度に気体排出口における排気風量(m³/min)を乗じて求めます。複数の排出口がある場合は、全ての気体排出口の臭気排出強度を合計したもの(TOER: total odor emission rate)を算出します。

なお、環境試料の臭気指数の測定方法は、3.3.6(イ)を参照してください。


3.1.6 排気風量

排気風量は、排気口から排出される大気汚染物質の総量を知るために必要です。また、排気が充分にされていないと作業環境の汚染物質濃度が高くなる原因となりますので、排気風量の定期的な測定が必要です。

排気風量を測定するためには、ダクト内の排ガスの風速をピトー管または熱式風速計を用いて測定します。同時にダクトの断面積を計測します。断面積と風速から排気風量は次式により算出します。

排ガス量(m³/h)=ダクト断面積(m²)×風速(m/s)×60²

なお、排出ガス量の測定方法は、JIS Z 8808「排ガス中のダスト濃度の測定方法」15)に規定されています。

引用文献

  1. 環境省、「VOC濃度の測定法」、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/air/osen/voc/sokuteiho.html、2011/06/13確認
  2. JIS K 0095「排ガス試料採取方法」
  3. 環境省、「関連資料、VOC用測定機(公定法、簡易測定法)」、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/air/osen/voc/materials.html、2011/06/13確認
  4. 環境省、「中央環境審議会大気環境部会揮発性有機化合物測定方法専門委員会(第2回)議事次第・資料 揮発性有機化合物測定機に関する調査結果」、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/council/07air/y075-02.html、2011/06/13確認
  5. 環境省、「環境技術実証事業」、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/policy/etv/s04_c2.html、2011/09/01確認
  6. 環境省、「有害大気汚染物質測定方法マニュアル」、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/air/osen/manual2/index.html、2011/06/13確認
  7. 環境省、「環境大気中の揮発性有機化合物(VOC)濃度モニタリングに係る測定方法マニュアル」、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/air/osen/manual_voc/index.html、2011/06/15確認
  8. 産業環境管理協会 公害防止の技術と法規編集委員会、「新・公害防止の技術と法規2009」、丸善株式会社、2009
  9. JIS K 0098「排ガス中の一酸化炭素分析方法」
  10. JIS K 0103「排ガス中の硫黄酸化物分析方法」
  11. JIS B 7981「排ガス中の二酸化硫黄自動計測システム及び自動計測器」
  12. JIS K 0104「排ガス中の窒素酸化物分析方法」
  13. JIS B 7982「排ガス中の窒素酸化物自動計測システム及び自動計測器」
  14. JIS K 0107「排ガス中の塩化水素分析方法」
  15. JIS Z 8808「排ガス中のダスト濃度の測定方法」
  16. ISO 23210:2009 Stationary source emissions -- Determination of PM10/PM2,5 mass concentration in flue gas -- Measurement at low concentrations by use of impactors
  17. ISO/DIS 13271 Stationary source emissions -- Determination of PM10/PM2,5 mass concentration in flue gas -- Measurement at higher concentrations by use of virtual impactors
  18. 悪臭法令研究会、「ハンドブック 悪臭防止法 四訂版」、株式会社ぎょうせい、2008
  19. 環境省、「環境庁告示9号 特定悪臭物質の測定の方法」、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/hourei/syousai.php?id=10000022、2011/06/22確認
  20. 環境省、「平成7 年環境庁告示63 号」、環境省ホームページ、http://www.env.go.jp/hourei/syousai.php?id=10000019、2011/06/22確認
  21. 環境省管理局大気生活環境室、「嗅覚測定法マニュアル 第5版」、(社)におい・かおり環境協会、2005
  22. (社)におい・かおり環境協会、「臭気測定認定事業所」、(社)におい・かおり環境協会ホームページ、http://www.orea.or.jp/data/ninteiList.html、2011/06/22確認
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