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1 基礎編
第5章 対策技術導入による環境影響軽減効果の評価

5.2 作業工程単位で考える環境影響軽減法

製品製造の工程中には、VOC排出量の多い工程、環境負荷が大きい工程があります。例えば塗装業において最も多くのVOCを排出する工程は、塗装工程です(2塗装編1.2参照)。一方悪臭物質が発生される工程は、乾燥工程です(2塗装編2.3参照)。ここでは、これらの工程において適用できる環境影響軽減方法を考えます。

・作業改善

塗料の保管方法や調合方法を工夫するなどの工程改善により、コストをかけずにVOC排出量を約5%削減することができます。この他にも、塗装製品の設置場所、スプレー作業の最適化などによりVOC排出量削減を期待できる作業改善があります。詳しくは2塗装編で述べられています(2塗装編第4章参照)。

塗装工程では、ブース内のVOCが高濃度にならないように大きな風量で換気がなされます。しかし、必要以上に風量を増加させることは、消費エネルギーを増大させるだけでなく、後に述べますVOC処理装置の負荷にもなります。したがって、ブース内のVOC濃度を正しく把握し、適正な風量で運転することにより消費エネルギーを削減し、処理装置のVOC処理効率を上げることができます。

・材料の選定

塗装工程や印刷工程は、製品製造工程のうちで最もVOC排出量の多い工程です。塗料やインキの選択により、これらの工程におけるVOCの排出量を削減することができます。近年これまで主流だった溶剤型の塗料・インキに替わり、水性の製品や溶剤を使用しない塗料・インキが開発されています(2塗料編第4章4.3.5参照)。例えば、塗料には大きく分けて溶剤型塗料、ハイソリッド塗料、水性塗料、粉体塗料があります。このうち最も多く使用されているのは溶剤型塗料ですが、多くの機能性を持たせることができる反面VOC排出量の多い塗料です。ハイソリッド塗料では、顔料の割合が多くなっており、VOC排出量を溶剤型より約30%減らすことができます。また、水性塗料では約60%、粉体塗料では100%、VOC排出量を減らすことができます(図1.5.2.1参照)。ただし、溶剤の変更により材料費が高くなったり、これまでの装置の変更が必要になったり、求められる製品の機能性が実現できない、機能性を持たせるために添加物が必要となる、などの課題が生じることもあるため、適応の可能性を考えることが必要です。

また、乾燥工程は、悪臭の原因となる物質の排出が多くなる工程です。臭気の問題は、近隣住民とのよい関係を築くためには必ず解決すべき課題です。塗料やインキによっては、悪臭の強い物質を排出する場合がありますので、これらを選択する際には臭気についても考慮しましょう。

・使用機器の変更

近年塗装工程で使用するスプレーガンなど、製品製造工程で使用する機器の改善が進められています。これらの機器は、数万円から数十万円のコストで改善された機器への変更ができます(2塗装編4.3.3参照)。これらの情報を得るために各種工業会に加盟し、情報、講習を受けることが有効です。

図1.5.2.1 溶剤型塗料を用いた塗装工程における対策別VOC排出量削減率の比較

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