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2 塗装編
第4章 工程改善によるVOC削減の手法

4.3 工程改善の手法と削減効果

4.3.1 塗装分野におけるVOC排出抑制法

大気汚染防止法の改正により、塗装施設、乾燥施設などが対象施設である塗装工場においても、VOCの排出規制と事業者の自主的取組とを適切に組み合わせて効果的な排出抑制が求められています。

東京都が発行しているVOC対策ガイドでは、塗装分野におけるVOC対策の方法について解説しています。その中で示されている、工程内対策の内容とVOC削減効果を表2.4.3.11)に示します。

表2.4.3.1 VOC削減に向けた工程内対策の項目と内容
(転載:東京都環境局環境改善部有害化学物質対策課、「VOC対策ガイド[工場内編]」、2006、pp.1-21)


4.3.2 エアスプレー塗装と塗着効率

塗装方法のうち塗料を微粒化するスプレー法は、作業性や仕上がり性が良く、比較的広範囲な被塗物形状にも対応できる利点があり、スプレー塗装技術の進歩が塗装の発展に大きく寄与したといっても過言ではありません。しかし、塗着効率は、はけ塗りやローラーコートなどのバルク塗布に比べて低く、スプレー塗装最大の欠点となっています。これは塗装時のVOC排出をはじめとして環境負荷を大きくする要因ともなっており、塗着効率の向上がスプレー塗装における環境負荷低減への技術的課題となっています。

塗着効率とは、塗装に用いられた塗料の固形分質量と被塗物に塗着した塗料の固形分質量との比を百分率で示すもので、スプレー塗装時の塗装効率を示す数値の一つです。塗装する塗装機の塗着効率の標準測定法は次のとおりです2)

この測定法を、もう少し詳しくスプレーガンの方式別に次に示しました。手動スプレーガンのうち、重力式と吸上げ式については、1~2 kg程度まで計ることができる精密秤があれば塗着効率が測定可能です。

塗着効率の視点から、スプレー塗装における溶剤形塗料成分の流れを、乾燥固形分50%の溶剤型塗料1 kgを塗着効率40%でスプレーした場合を例として図2.4.3.1に示しました。1 kgの塗料中の乾燥固形分は50%、つまり0.5 kgで塗着効率が40%のため被塗物に0.2 kg付着し、残りの0.3 kgはブースに捕集されます。塗料中のVOC成分は乾燥固形分以外となるので0.5 kgとなり、スプレー時に塗装ブースからその多くが揮発し、被塗物に塗着した塗料に含まれるVOCはセッティングゾーン及び乾燥炉から揮発することとなります。また、図2.4.3.2に示したように、塗着効率の向上によって塗料使用量が減少し、VOC、スラッジなどの廃棄物の削減が可能となり、現行の塗着効率が低いほどその向上により塗料使用量、およびVOC抑制効果が高いことがわかります。この塗着効率を左右する因子としてスプレー方式、スプレーガンの調整・操作条件、被塗物形状・大きさなどが挙げられ、この大小が使用塗料、排出されるVOC量に大きく関係します。

図2.4.3.1 スプレー塗装における塗着効率と各塗料成分の流れの一例
(転載:木下稔夫、「ハンドスプレー塗装におけるVOC削減の手法 」、塗装技術、Vol.47、 No.7、2008、p.60)

図2.4.3.2 塗着効率の違いによる塗料使用量と成分量の関係
(転載:木下稔夫、「ハンドスプレー塗装におけるVOC削減の手法 」、塗装技術、Vol.47、No.7、2008、p.60)


4.3.3 塗着効率向上のためのスプレー方法

(ア) スプレー方式の違いと塗着効率

スプレー方式による塗着効率の違いを図2.4.3.3に示す。汎用性のあるエアスプレー塗装が最も塗着効率が悪いのですが、低圧化、静電スプレーにすることで塗着効率は上昇します。

図2.4.3.3 スプレーガンの種類と塗着効率の関係
(転載:環境省 水・大気環境局大気環境課、「すぐにできるVOC対策 塗装で取り組むVOC削減の手引き」、(社)産業と環境の会、2007、p.7 )

(イ) スプレー条件と塗着効率

各種スプレーガンにおいて、塗料の吐出条件の調整や運行条件によっても塗着効率は大きく変わってきます。図2.4.3.4に他条件を一定にした場合の、スプレー条件と塗着効率の代表特性を示しました。

図2.4.3.4 スプレーガンの代表特性
(引用:畠隆行,金子克、「低圧スプレーガンの低空気量化のための最新霧化頭技術」、塗装工学、Vol.36、No.9、2001、p.325)

また、スプレーガンを被塗物に対して直角に保持した場合と角度をつけた場合の、塗装特性を 図2.4.3.5に示します。吹き付け角度が90°の場合に比べて60°、45°と傾きが小さくなるにつれて塗着効率、光沢度の値は低くなり、つまり塗料使用量、VOC発生量、廃棄物量は増加しますが、塗膜外観はざらつき、膜厚が薄くなります。

図2.4.3.5 吹付け角度の違いによる特性
(転載:木下稔夫、「ハンドスプレー塗装におけるVOC削減の手法 」、塗装技術、Vol.47、No.7、2008、p.62)

また、静電塗装を行った場合のスプレー条件と塗着効率の変化を図2.4.3.6に示します。この考え方ではスプレー条件を変えることで塗着効率が向上し、塗料の削減につながることが数値で示されています。

図2.4.3.6 塗装条件と塗着効率の変化
(転載:環境省 水・大気環境局大気環境課、「すぐにできるVOC対策 塗装で取り組むVOC削減の手引き」、(社)産業と環境の会、2007、p.7)

(ウ) 被塗物形状と塗着効率

スプレー方式・条件の他、被塗物の大きさ、形状等によっても塗着効率は変化します。特に網目のような隙間の多いものや、オーバースプレーが多い小さくまたは細い形状の被塗物の場合、塗着効率は低下します。図2.4.3.7に被塗物の形状の違いによる塗着効率の例を示します。平板に比べ箱形外面はオーバースプレーが多くなるため塗着効率は低く、逆に、スプレーミストの跳ね返りがあり、塗りにくいとされている箱形内面は、塗料粒子の飛散が少ないため塗着効率は高い傾向にあります。被塗物に応じてスプレー方式を選択することや、スプレー条件を設定することが塗着効率向上のポイントとなります。


図2.4.3.7 被塗物形状の違いによる塗着効率
(転載:木下稔夫、「ハンドスプレー塗装におけるVOC削減の手法 」、塗装技術、Vol.47、No.7、2008、p.63)

(エ) スプレーテクニックの見直し、向上

塗装工場において、最も汎用的に用いられているハンドスプレーガンは、塗装者が長年の経験と熟練によってそのスプレー条件を作り上げることが多いものです。しかし、その場合の指標はあくまで塗面の美観と要求膜厚であって、塗着効率の向上が目標になることはなかったといえます。図2.4.3.8に、異なる工場のスプレー塗装者が同じハンドスプレーガンを用いて、同一の被塗物を塗装し、塗着効率を測定した事例を示します。8人のスプレー塗装者の塗着効率の平均は49%で、その前後の値が多いものの、最も大きい塗装者と小さい塗装者の差は26%もあります。美観、膜厚を維持したまま塗着効率を向上するよう、スプレーテクニックの見直し、向上に努めることがVOC削減のために必要です。

図2.4.3.8 スプレー塗装者の違いによる塗着効率の測定例
(転載:木下稔夫、「ハンドスプレー塗装におけるVOC削減の手法 」、塗装技術、Vol.47、No.7、2008、p.63)


4.3.4 塗着効率向上とVOC、塗料、廃棄物削減効果

塗着効率と塗料中の乾燥固形分の違いによる溶剤使用量(VOC発生量)を図2.4.3.9に示しました。この図から、塗料中の塗料固形分も少ないほど、塗料転換やシンナーによる希釈を減らして、数%でも多くし、塗着効率の向上を図ることと並行して行うことで、より高いコスト削減効果が得られることが分かります。

図2.4.3.9 塗料不揮発分と塗着効率の違いによる溶剤使用量(VOC発生量)
(転載:木下稔夫、「エアスプレー塗装におけるハイソリッド塗料への転換によるVOC抑制効果」、塗装工学、Vol.43、No.8、2008、p.260)

表2.4.3.2には、塗着効率と塗料固形分の違いによる塗料使用量・廃棄物量を示しました。この表から塗着効率、塗料(塗料固形分)の検討前後の塗料使用量の差を求めることにより、生産コストに関連する塗料使用量、廃棄物量の削減効果を確認することができます。例えば、塗膜量を100と仮定して、塗着効率30%、塗料固形分30%の時点から、塗着効率50%、塗料固形分40%に変更できた場合、塗料使用量は1110から500、廃棄物量は233から100に削減できます。塗料使用量の削減量は610、削減割合は55%、廃棄物量の削減量は133、削減割合は57%となります。現在の実態を把握しながら、塗着効率の向上に向けた地道な検討を行うことが、有効なコスト削減にもつながると考えられます。

表2.4.3.2 塗着効率と塗料中固形分の違いによる塗料使用量・廃棄物量
(転載:木下稔夫、「ハンドスプレー塗装におけるVOC削減技術」、中部塗装研究会講演会「明日の工業塗装を考える」テキスト、 2008、p.9)


4.3.5 スプレー塗装における低VOC塗料への転換によるVOC排出削減効果

(ア) 低VOC塗料の特徴と転換への手順

低VOC塗料への転換は塗装時のVOC成分が直接少なくなることから、その削減効果は大きいです。低VOC塗料の代表的なものには粉体塗料、水性塗料、ハイソリッド塗料があり、そのVOC含有量と特徴を表2.4.3.3に示しました。

表2.4.3.3 低VOC塗料の種類と特徴
(参考:①(社)産業環境管理協会、「VOC排出抑制の手引き-自主的取組の普及・促進に向けて- 参考資料」、経済産業省、2006、p.112.②環境省 水・大気環境局大気環境課、「すぐにできるVOC対策 塗装で取り組むVOC削減の手引き」、(社)産業と環境の会、2007、p.4)


ハイソリッド塗料は、溶剤形塗料の溶剤を低減し、不揮発分(固形分)を多くした塗料の総称です。ハイソリッド塗料は、水性塗料、粉体塗料に比べてVOCの削減量は少ないものの、ハンドスプレーを多く用いている小規模、小ロットのスプレー塗装においては、現在使用中の塗装設備や塗装方法の変更を必要とせずに塗装が可能であり、導入が容易です。 

低VOC塗料への転換はVOC削減効果だけでなく、それぞれの特徴から被塗物、塗装設備、作業性、塗膜外観、性能など総合的に判断して導入を検討するべきです。導入に際しては、塗装性や塗膜性能を確認しながら進めていく必要があり、その場合の工程フローを図2.4.3.10に示しました。

図2.4.3.10 低VOC塗料への転換フロー
(転載:河合宏紀監修、「工業塗装ハンドブック」、テクノシステム、2008、p.873)

(イ) ハイソリッド塗料の転換によるスプレー時のVOC排出量の変化

改正された大気汚染防止法において、吹付塗装施設のVOC規制は、ブースダクトからの排出濃度を規定するものとなっています。スプレー塗装におけるブースダクトからのVOC排出は、排風量が大きいため、その濃度が安定するまでに時間を要します。実際の塗装工場においては、スプレー開始とともにVOC濃度が上昇し、停止とともに降下する、VOC排出パターンを繰り返します。更に被塗物の形状、大きさ、塗装方法、塗料の種類などにより噴出量やその中に含まれるVOC成分割合が違うため、小ロット、多品種のスプレー塗装工場では安定したVOC濃度とはなりません3)

小規模塗装工場で最も多く用いられていると考えられる小型重力式スプレーガンとメラミン樹脂塗料において、ハイソリッド塗料に転換することでブースダクトから排出されるVOCはどのように変化するのかを調べました4)。主なスプレーガン仕様、塗料・スプレー条件は次のとおりです。

①スプレーガン
塗料供給方式: 重力
塗料ノズル口径: 1.3 φmm
吹付空気圧力: 0.24 MPa
空気使用量: 145 L/min
(カタログデータ)
②塗料
アルキドメラミン樹脂塗料: 従来形、ハイソリッド形(同一メーカー品)
粘度: 20±0.5sec(岩田粘度カップNK-2)
不揮発分量: 希釈前  従来形68%,ハイソリッド形75%
希釈後  従来形53%,ハイソリッド形62%
③スプレー条件
被塗物: 無し
塗料噴出量: スプレーガン塗料噴出量調節装置により5段階に調節(各段階において従来形とハイソリッド形をほぼ同量にした。)
スプレー時間: 1 min
スプレー箇所の風速: 0.6 m/sec
ブースの種類: 乾式ブース(バッフル式)
ブースダクトの風量: 160 m³/min
④VOC濃度測定条件・VOC量算出式
測定機器: FID式VOC測定機
測定箇所: 60 φcmブースダクト内中心部
測定: 連続測定(2sec間隔でロギング)
VOC量(炭素数1のVOCに換算した容量)算出式: VOC量(cm³)=排出VOC平均濃度(ppmC)×排ガス総量(m³)

スプレーガンの塗料噴出量調節装置を調節することにより噴出量(重量)を変化させた、従来形メラミン樹脂塗料とハイソリッド形塗料のVOC濃度変化を、公定法に準拠したFID法(水素炎イオン化法)により連続測定した結果を図2.4.3.11に示します。メラミン樹脂塗料を用いた1分間のスプレーでは、塗料の噴霧とともにブースダクト内のVOC濃度が上昇し、濃度が安定したあたりで塗料の噴出を終えているのが分かります。従来形、ハイソリッド形ともにVOC濃度変化のパターンは類似しているものの、塗料噴出量の違いによりその高さは異なります。また、ダクト内VOC濃度の連続測定から得られたVOC排出量は、スプレー時に噴出した塗料の量や塗料中の揮発成分(VOC成分)、不揮発成分(固形分)量と相関が認められました(図2.4.3.12)。

このことにより、同一メーカーのアルキドメラミン樹脂塗料を用いたスプレー塗装において、同じ重量を噴出した従来形に対し、ハイソリッド形は、VOC排出量において約25%の削減効果が認められました。 これは、噴出させた塗料中に含まれる揮発成分(VOC成分)量が異なるためです。

図2.4.3.11 エアスプレー塗装における塗料噴出量の違いとブースダクト内のVOC濃度変化
(転載:木下稔夫、「エアスプレー塗装におけるハイソリッド塗料への転換によるVOC抑制効果」、塗装工学、Vol.43、No.8、2008、p.262)

図2.4.3.12 塗料噴出量とVOC排出量の関係
(転載:木下稔夫、「エアスプレー塗装におけるハイソリッド塗料への転換によるVOC抑制効果」、塗装工学、Vol.43、No.8、2008、p.262)

(ウ) ハイソリッド塗料への転換によるVOC削減効果5)

表2.4.3.4、図2.4.3.13、図2.4.3.14に塗装時、汎用塗料より不揮発分(固形分)を9%多くしたハイソリッドメラミン樹脂塗料を用いて平板にスプレー塗装をした場合のVOC削減効果の事例を示します。

汎用塗料と塗料噴出量を同じにして、ハイソリッド塗料を同量スプレーした場合(条件B)、塗料中揮発分の削減と塗着効率の結果からVOC成分量は20%削減できました。しかし、塗料中の固形分が多いために汎用塗料に比べて被塗物上の膜厚が厚くなり、ブースに飛散した固形分(廃棄物)も増大しました。そこで、スプレーガンの塗料噴出量調節装置を約1/4程度締め込んで、噴出量を減少させてスプレーした場合(条件C)、VOC成分削減量は29%に増加し、膜厚は汎用塗料と同じで、ブースに飛散した固形分は10%減に転じました。

表2.4.3.4 スプレー塗装における使用塗料・条件と塗装結果
(転載:木下稔夫、「ハンドスプレー塗装におけるVOC削減の手法 」、塗装技術、Vol.47、No.7、2008、p.65)

図2.4.3.13 スプレー塗装におけるハイソリッド塗料の塗料使用量および成分量
(転載:木下稔夫、「ハンドスプレー塗装におけるVOC削減の手法 」、塗装技術、Vol.47、No.7、2008、p.65)

図2.4.3.14 スプレー塗装における排気ダクトからのVOC濃度変化
(転載:木下稔夫、「ハンドスプレー塗装におけるVOC削減の手法 」、塗装技術、Vol.47、No.7、2008、p.65)

このことから、ハイソリッド塗料を用いたスプレー塗装においては、汎用塗料の場合と比べて噴出量を一定量減らして塗装することで、膜厚品質が同一でVOC低減量がより増加し、高い低減効果が得られることが分かります。また、スプレー時の排気ダクト中のVOC濃度パターンも低い曲線を描くことから(図2.4.3.14)、改正大防法の規制対象となっているVOC濃度を下げる効果も確認できました。

これら有効な削減効果を得るためには、膜厚管理を行い、スプレー塗装の特性を生かしたスプレーガンの調節と運行作業を身につけることが重要です。

(エ) 低圧スプレーとハイソリッド塗料の検討によるVOC抑制

市販のハイソリッド塗料と低圧スプレーガンによる環境への負荷低減効果を解析するため、塗装実験を行った結果を図2.4.3.15に示します。塗料は、工業塗装において最も一般的なアルキドメラミン樹脂塗料を選択し、従来形とハイソリッド形を用いました。塗料の原液での不揮発分は従来形63%、ハイソリッド形75%ですが、専用希釈剤により標準希釈を行った結果、それぞれ50%、60%となり、固形分比で10%の差となりました。スプレーガンは、重力式ガンで、汎用形と低圧形により比較を行いました。低圧形はガン入口空気圧が汎用形に比べて低い分、空気量を多くして微粒化を図っています。実験は、数年以上のスプレー作業経験者9名が、アルミ平板に対しスプレーを行い、塗着効率を測定しました。その結果、スプレーガンで汎用形を用いた場合48%、低圧形を用いた場合55%と、低圧形の使用による塗着効率の向上が確認されました。測定された塗着効率と、従来形、ハイソリッド形塗料の不揮発分から、塗着した固形分(塗膜)を100と仮定した場合の、塗料使用量及び成分量を示しました。塗料を従来形からハイソリッド形にすることにより、塗料使用量で17%、VOC量で33%抑制でき、ハイソリッド形塗料を低圧形スプレーガンで塗装することにより、塗料使用量を27%、VOC量42%を抑制できることが認められました。

これまでの検討から、塗料中の揮発成分及び噴出塗料の削減、塗着効率の向上、がVOC濃度の低下に有効であることが示唆されました。

図2.4.3.15 メラミン樹脂塗料のスプレー塗装による塗料使用量および成分量
(引用:東京工業塗装協同組合活路開拓委員会、「環境適応型塗料・低圧ハンドスプレーガン導入実験報告書」、東京工業塗装協同組合、2002、pp.57-74)

(オ) スプレー作業以外の塗装工程、作業の改善

塗装施設におけるVOC対策は、前項で述べたように、まず工程内でできることを考え、塗料、溶剤のムダをできるだけ無くすことを考えるべきです。塗布作業以外の塗装工程、作業では、洗浄時の溶剤量の適性化や作業内容の改善による削減、洗浄後、溶剤を蓋のついた缶にすばやく貯めて、再生利用する(図2.4.3.16)等を検討することなどが挙げられます。洗浄溶剤量を減らすということに関しては、吹き付け塗装におけるスプレーガン(図2.4.3.17、図2.4.3.18)、圧送式の場合のポンプやホース内洗浄(図2.4.3.19)についても同じです。

また、2液混合タイプの塗料の場合、使用量やポットライフ(可使時間)の予測、計算違いなどにより廃棄しなければならない塗料を作らないことや塗料や溶剤の入った容器には必ず蓋をすることも重要です。

図2.4.3.16 溶剤再生装置による廃シンナーの再生利用

図2.4.3.17 重力式スプレーガン使用後の洗浄方法

図2.4.3.18 重力式スプレーガン洗浄時の方法の違いとVOC排出量(例)
(転載:木下稔夫、「小規模塗装工場のVOC排出と対策」、大気環境学会第50回年会・発生源対策分科会講演会資料、2009 )

図2.4.3.19 溶剤再生装置による廃シンナーの再生利用
(転載:日本塗装機械工業会 技術部会、「日本塗装機械工業会第9回技術シンポジウム発表資料」、2008)

引用文献

  1. 東京都環境局環境改善部有害化学物質対策課、「VOC対策ガイド[工場内編]」,pp.1-21 (2006).
  2. 日本塗装機械工業会編、新しい塗装実務ハンドブック入門編,日本塗装機械工業会,pp.153 (2000).
  3. 木下稔夫、「エアスプレー塗装におけるハイソリッド塗料への転換によるVOC抑制効果」、塗装工学,Vol.43 No.8、2008、p.256-263
  4. 木下稔夫、「小規模工業塗装工場におけるVOC排出実態」、塗装工学、Vol.42 No.7、 2007、p.208-213
  5. 木下稔夫、「ハンドスプレー塗装におけるVOC削減の手法 」、塗装技術、Vol.47 No.7、 2008、p.57-66

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